父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました(民法等改正)

公開日:2025年09月12日

更新日:2026年02月26日

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令和6年(2024年)5月17日に、父母が離婚した後の子の利益を確保することを目的として、民法等の一部改正法が成立しました。(令和6年5月24日公布)

この改正法は、⼦を養育する⽗⺟の責務を明確化するとともに、親権・監護、養育費、親⼦交流、養⼦縁組、財産分与等に関する⺠法等のルールを⾒直しており、令和8年(2026年)4月1日に施行されます。

改正内容の概要

(1)父母がこどもを養育するに当たって遵守すべき責務が明確化されます。

(2)離婚後の父母双方を親権者と定めることができるようになります。

(3)養育費の支払い確保に向けた見直しがされます。

(4)安全安心な親子交流の実現に向けた見直しがされます。

(5)養子縁組や財産分与などに関する規定の見直しがされます。

(1)親の責務に関するルールの明確化

父母が親権や婚姻の有無に関わらずこどもを養育する責務が明確化されました。

  • こどもの人格を尊重しなければなりません。
  • こどもが親と同程度の生活水準を維持できるよう扶養する義務があります(養育費の支払い含む)。
  • 親権はこどもの利益のために行使しなければなりません。
  • 父母はこどもの利益のために、互いに人格を尊重し、協力しなければなりません。

(注意)次のような行為はこの義務に違反する場合があり、親権者の指定又は変更の審判、親権喪失又は親権停止の審判等において、その違反の内容が考慮される可能性があります(暴力等や虐待から逃れることはルールに違反しません)。

・父母の一方から他方への暴行、脅迫、暴言等の相手の心身に悪影響を及ぼす言動や誹謗中傷、濫訴等。

・別居親が、同居親による日常的な監護に不当に干渉すること。

・父母間で親子交流の取決めがされたにもかかわらず、その一方が特段の理由なくその実施を拒むこと。

・共同親権において、父母の一方が特段の理由なく他方に無断でこどもを転居させること。 など

 

(2)親権に関するルールの見直し

離婚後の親権について、片方の親のみが親権を持つ「単独親権」のほかに、父母両方が親権を持つ「共同親権」が選択できるようになります。

 

【協議離婚の場合】

親権者を一方のみとするか、父母双方とするかを協議によって定めます。

 

【父母の協議が調わない場合や裁判離婚の場合】

家庭裁判所が、親子間の関係や、父母間の関係などの様々な事情を考慮した上で、こどもの利益の観点から共同親権とするか、単独親権とするかを定めます。

この裁判手続では、家庭裁判所は、父母それぞれから意見を聴かなければならず、こどもの意思を把握するよう努めなければなりません。

虐待やDVのおそれがある時や、その他の事情により、父母が共同で親権を行うことが困難と認められる場合は、家庭裁判所は総合的に判断して必ず単独親権と定めることとされています。

 

【法改正前に離婚した家庭の場合】

既に離婚して単独親権の定めをしている場合には、今回の改正法の施行によって自動的に共同親権に変更されることはありません。ただし、改正法の施行後に家庭裁判所がこども自身やその親族の申立てに基づいて、こどもの利益のための必要性を踏まえて親権者を単独親権から共同親権に変更する場合があります。

共同親権への変更が認められるかは各家庭の事情によるためケースバイケースですが、例えば、別居親が本来支払うべき養育費の支払を長期間にわたって合理的な理由なく怠っていたような場合には、共同親権への変更が認められにくいと考えられます。

【共同親権となった場合】

日常に関すること

毎日の生活に関する事、例えばこどもの食事内容や服装、短期旅行、予防接種、心身に重大な影響を与えない医療行為の決定、習い事、高校生のアルバイト許可などは、父母のどちらかで決めることが出来ます。

こどもに関する大切な選択は父母で話し合う

こどもの住む場所や、進路に影響する進学先や就職先の決定、心身に重大な影響を与える医療行為の決定、財産の管理などについては、父母の話し合いによって決められます。

父母が共同して親権を行使すべき特定の事項について、父母の意見が対立するときは、父または母の請求により、家庭裁判所が父母の一方を当該事項に関わる親権行使者に指定することが出来ます。

一方の親が決められる緊急のケース

父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては親権の行使が間に合わず、こどもの利益を害するおそれがある場合をいいます。急迫の事情があるときは、日常の行為にあたらないものについても、父母の一方が単独で親権を行うことができます。

個別具体的な事情によりますが、例えば、急迫の事情の例としては、次のような場合があります。

  • DV や虐待からの避難(こどもの転居などを含みます)をする必要がある場合(被害直後・身体的なものに限りません)。
  • こどもに緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合。
  • 入学試験の結果発表後に入学手続の期限が迫っているような場合。 など

(3)養育費の支払確保に向けた見直し

養育費とは、こどもの監護や教育のために必要な費用のことをいいます。一般的には、こどもが経済的・社会的に自立するまでに要する費用を意味し、衣食住に必要な経費、教育費、医療費などがこれに当たります。

こどもを監護している親は、他方の親から養育費を受け取ることができます。

なお、離婚によって親権者でなくなった親であっても、こどもの親であることに変わりはありませんので、親として養育費の支払義務を負います。

改正内容は下記の通りです。

 

【養育費の取決めの実効性向上】

これまでの民法では、同居親と別居親の間で養育費の支払を取り決めていたとしても、別居親が養育費の支払を怠ったときに別居親の財産を差し押さえるためには、公正証書や調停調書、審判書などの「債務名義」が必要でした。

今回の改正により、養育費債権に「先取特権(さきどりとっけん)」と呼ばれる優先権が付与されるため、改正法施行後に生ずる養育費については、債務名義がなくても養育費の取決めの際に父母間で作成した文書に基づいて、支払いが滞った際に差押えの手続を申し立てることができるようになります。

 

【法定養育費の新設】

離婚のときに養育費の取決めをしていなくても、こどもと同居する親は、別居する親に対して、こども1人あたり月額2万円の「法定養育費」を請求することができるようになります。

法定養育費は、離婚してから養育費の取決めをするまで、またはこどもが18歳になるまでの間の、暫定的・補充的 なものですので、各自の収入などをふまえた適正な養育費の取決めをしていただくことが重要です。

尚、法定養育費の規定は改正法施行後に離婚したケースのみに適用されます。

・養育費の基準(裁判所HP)

 

【裁判手続きの利便性向上】

養育費に関する裁判手続では、各自の収入を基礎として、養育費の額を算定することとなります。そこで、今回の改正では、手続をスムーズに進めるために、家庭裁判所が、当事者に対して収入情報の開示を命じることができることとしています。

養育費を請求するための民事執行の手続においては、地方裁判所に対する1回の申立てで下記一連の手続を申請することができるようになります。

(1)財産開示手続:養育費の支払義務者は、その保有する財産を開示しなければならない。

(2)情報提供命令:市区町村に対し、養育費の支払義務者の給与情報の提供を命じる。

(3)債権差押命令:判明した給与債権を差し押さえる。

(4)安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し

親子交流とは、こどもと離れて暮らしている父母の一方がこどもと定期的、継続的に会って話をしたり、一緒に遊んだり、電話や手紙などの方法で交流することをいいます。

こどもにとっては、どちらもかけがえのない父であり母であることに変わりはありません。こどもがどちらの親からも愛されていることを実感し、それぞれと温かく信頼できる親子関係を築いていくためには、父母それぞれの理解と協力が必要です。

なお、相手から身体的・精神的暴力等の被害を受けるおそれがあるなど、親子交流をすることがこどもの最善の利益に反する場合には、以上の点は当てはまりません。

改正内容は下記の通りです。

 

【親子交流の試行的実施】

家庭裁判所の手続中に親子交流を試行的に行うことができるようになります。家庭裁判所は、こどもの心身の状況に照らして相当であるか、調査の必要性があるかなどを考慮して、親子交流の試行的実施を促すか否かを検討します。

 

【婚姻中別居の場合の親子交流】

婚姻中別居の場合、親子交流についてはこどもの利益を最優先に考慮することを前提に、父母の協議により決めることになります。協議が成立しない場合には、家庭裁判所の審判等により定めることができます。

 

【父母以外の親族とこどもの交流】

祖父母等とこどもの間に親子関係に準ずるような親しい関係があり、こどもの利益のため特に必要がある場合、家庭裁判所は父母以外の親族とこどもの交流を行えるように定めることができます。

(5)養子縁組や財産分与に関する改正

養子縁組

・養親が親権者となります。

・実父母の一方の再婚相手を養親とする養子縁組(いわゆる連れ子養子)の場合は養親(再婚相手)とその配偶者である実親が親権者となります。この場合、実父母の離婚後に共同親権の定めをしていたとしても、他方の親は親権を失います。

・15 歳未満のこどもが養子縁組をするときは、そのこどもの親権者が養子縁組の手続きを行う必要があります。共同親権の場合は、共同で行う必要があり、父母間で意見が対立した場合は家庭裁判所にて調整することとなります。

財産分与

・財産分与の請求期間は今までは2年でしたが、離婚後5年を経過するまでに伸長されます。

・婚姻中に築いた財産についての夫婦の貢献の程度は原則として夫婦対等(2分の1ずつ)とされます。

この記事に関するお問い合わせ先

住民課(住民係)
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